食事の基本

食事療法の基本

図以外で大切なことは、

  • 色々な食材を食べるように心がける。
  • 野菜を毎食摂取するように心がけ、毎日計350g摂取をする。
  • 脂肪の多い肉類を減らし、お菓子などトランス脂肪酸が多い食品を減らす。
  • 不飽和脂肪酸を増やす(青魚・豆類)。
  • ゆっくりよく噛み、腹八分目。

塩分を控える

塩分のとりすぎは、高血圧を引き起こします。
1日6gを目安にしましょう。

調味料塩分1g相当目安(杯)
食塩1g小さじ1/5
薄口しょうゆ6g小さじ1
濃口しょうゆ7g小さじ1
減塩しょうゆ13g小さじ2
甘みそ16g大さじ1
減塩みそ20g大さじ1
調味料塩分1g相当目安(杯)
味ぽん10g小さじ1
ウスターソース12g小さじ2
トンカツソース17g大さじ1
ケチャップ30g大さじ2
和風ドレッシング25g大さじ2
マヨネーズ40g大さじ3

食事による生活習慣病改善

下記、各生活習慣病ごとに、食事療法の注意点を記載しております。

高血圧症の食事

DASH食+減塩食が効果的

  • 食塩制限(食塩6g/日未満)
  • 野菜・果物の積極的摂取
  • コレステロール・飽和脂肪酸の制限

「DASH食」;高血圧を防ぐ食事

DASH=Dietary Approaches to Stop Hypertension(高血圧を防ぐ食事方法)の略語で、アメリカで行われた調査・研究からまとめられた血圧の改善に高い効果がある食事のことです。
様々な食品を”組み合わせる”ことでより効率的に血圧を下げると考えられています。

DASH食には2つのポイントがあります。

脂肪の多い肉類や砂糖を含む甘いものを減らす

肉類から魚類に切り替えて不飽和脂肪酸を増やし、低脂肪の肉と低脂肪乳製品をとることにより飽和脂肪酸・コレステロールなどの脂肪摂取を減らすことです。

肉類は脂肪の少ない鶏肉などを選び、調理方法も皮や脂を取り除き、ゆでたり、焼いたりしましょう。
飽和脂肪酸の多い、お菓子やジュース類も減らしましょう。

野菜や海藻、果物、ナッツ類、全粒穀物を十分にとる

塩分を排出する働きのあるカリウムをはじめ、カルシウム、マグネシウムのミネラルを多く含む果物、食物繊維を多くとることで、血圧を下げる効果が期待できます。

野菜を毎食とり、ミネラルが効率よくとれる大豆製品、乳製品、バナナ、アボカド、ブロッコリー、ナッツ類、いわし、しらすなどを積極的に摂取しましょう。

糖尿病の食事

原則、食べてはいけないものはありません

高血圧症のある方は減塩が必要です。
糖尿病性腎症の方は、控えるべき食品があります。
過度な「糖質制限」は良くありません。
甘いものを食べたい時、間食ではなく食後のデザートにすると良いでしょう。

寝る前を避け、1日3食を規則正しく食べる

朝食を抜いたり、夜遅くに夕食を食べたりすると、肥満や血糖コントロール不良の原因となります。毎日決まった時間に3食きちんと食べることが、良好な血糖コントロールにつながります。

また、食事の時間がバラバラで空腹の状態が長く続くと、過食につながりやすくなります。
できるだけ一定の間隔で食べることを意識してください。

食べる順の工夫

野菜→タンパク質→炭水化物の順に食べましょう。
ポイントは、食物繊維を多く含む野菜を炭水化物よりも先に食べること。

食物繊維は消化・吸収を穏やかにしてくれるので、血糖値の急上昇を抑えることができます。

血糖値が急激に上がると、それに対応してインスリンが大量に分泌され、空腹感による過食から糖尿病を招くリスクが高まってしまいます。

バランスのよい食事

「糖尿病診療ガイドライン」では食品のバランスが定められています。

炭水化物とたんぱく質は4kcal/g、脂質は9kcal/gのため、脂ものは控えるよう心がけましょう。

食品の種類は多く摂取し、「食物繊維」は1日20g以上摂取しましょう。

適切な糖質制限を

減量などのために、糖質を極端に制限することは、その効果や安全性が証明されておらず、また長続きしにくいという点からも、現時点では勧められていません。

糖質を制限する一方で、摂取カロリー自体は大きく減らさないようにすると、結果的に脂質やタンパク質を多く食べてエネルギーを補うこととなります。

一回の献立として「ラーメンとライス」、「パスタとパン」、「うどんとおにぎり」など、炭水化物を組み合わせたメニューは、糖質過多になる恐れがあります。
ご飯のおかわりやラーメンの大盛りをする習慣も、注意が必要です。

ゆっくりよく噛んで腹八分目

時間をかけてよくかむことで満腹中枢が働き、適度な食事量で満腹感が得られます。
それにより暴飲暴食を避けることができ、肥満予防にもつながります。

エネルギー量

下記の式にあてはめ、1日に必要な適正エネルギー量を計算してみましょう。

1日の適正エネルギー量(kcal)


= 標準体重(kg) × 身体活動量(kcal/kg)

標準体重(kg)=身長(m) × 身長(m) × 22

身体活動量
軽めの労作(主婦):25~30 kcal/kg
普通の労作(立ち仕事):30~35 kcal/kg
重めの労作(力仕事):35~ kcal/kg

外食をするときは

外食は、一般的に「総エネルギー量が高い」、「塩分・糖分が多い」、「野菜・ミネラルが不足しがち」となる傾向があります。

エネルギー量や栄養成分について確認することが難しいため、普段の量より多ければ残すことや、丼物といった単品メニューではなく、品数が多い定食メニューを選ぶなどの工夫をしましょう。

外食のエネルギー量や栄養素のバランスを見分けられるように、日頃から食品の量をはかる習慣をつけておくのもよいでしょう。

脂質異常症の食事

体重を適正にする

体に溜まっている余計な脂肪を減らしましょう。
適正な体重の範囲に入るように、エネルギーの摂取を調整しましょう。

適正体重の計算(kg)


= 身長(m) × 身長(m) × BMI

年齢(才)BMI
18~4918.5~24.9
50~6420.0~24.9
65 ~21.5~24.9

コレステロールを下げる食事

コレステロール値が高い方は

卵類(鶏卵や魚卵)、内臓類(レバーやモツ)を1~2カ月食べないようにしてみて、血中コレステロール濃度が下がるようならば、コレステロール摂取量の制限が効果的なタイプと考えられます。

ある程度コレステロール値が下がったら、2~3日に1回程度は食べても大丈夫でしょう。

飽和脂肪酸を減らす

肉類の脂身や鶏肉の皮、ラード、バター、乳脂肪などには、血中コレステロールを上げる作用のある飽和脂肪酸が多く含まれます。

これらの動物性脂肪や脂身の多い肉を控え、赤身肉や脂身をとり除いた肉を食べましょう。

牛乳も低脂肪乳にするとよいでしょう。

工業的に作られたトランス脂肪酸を減らす

マーガリンやショートニングなどを使った食品や工場生産された揚げ物などに含まれています。

揚げ物類やスナック菓子、パイ菓子、クッキー類などをはじめとした市販の洋菓子類には注意しましょう。

不飽和脂肪酸を増やす

EPAやDHAといったn-3系多価不飽和脂肪酸は青魚に多く含まれます。
1日に魚を1切れ程度、食べるようにしましょう。

また、肉類・乳製品にも若干含まれますが、1日摂取量を補うことは難しいといわれています。

食物繊維を増やす

コレステロールを体外へ排泄するために、食物繊維の摂取量を増やしましょう。

食物繊維を多くとるには、主食を精白度の低い玄米、胚芽米や麦飯、全粒粉のパン、蕎麦などにし、3度の食事ごとにたっぷり2皿の野菜類・海藻・きのこ・こんにゃくなどを食べましょう。

豆類や大豆の加工品である納豆にも多く含まれています。

代表的な食品の例
飽和脂肪酸脂身の肉、生クリーム、バター、チーズ、即席めん
トランス脂肪酸菓子パン、スナック菓子(マーガリン・ショートニングに多い)
不飽和脂肪酸サバ・サンマ・ブリ・イワシなど青魚、大豆製品

中性脂肪を下げる食事

中性脂肪は肝臓で余分な糖質から合成される

これを抑えるために、炭水化物エネルギー比率を50~60%の中で設定し、果糖を含む加工食品の大量摂取を控えましょう。

過剰なアルコールは中性脂肪の合成を高める

アルコール摂取制限は短期間で効果が現れるので、まずは禁酒か節酒をしましょう。

1日に日本酒なら1合、ビールなら500mL程度、ワインなら180mL程度までにしましょう。

EPA、DHAを積極的に摂取

EPA、DHAは肝臓で中性脂肪を作りにくくするため、積極的に摂取するようにしましょう。
これらは、青魚に多く含まれます。
肉類・乳製品にも若干含まれますが、1日摂取量を補うことは難しいといわれています。