減り続ける現代人の睡眠時間

日本人の睡眠時間は平均7時間42分で、過去20年間にわたり減少を続けています。

特に40代・50代の働き盛りの年代層の睡眠時間は7時間そこそこであり、週末に平日より1時間ほど長く眠ることで何とか睡眠不足の帳尻を合わせているようです。

また女性で睡眠時間が短いのが目立ちます。子供たちの遅寝や睡眠不足が学習能力や情緒形成へ及ぼす悪影響も懸念されています。

快眠と生活習慣

快眠のための生活習慣にはふたつの役割があります。ひとつは直接的な役割で、「運動」や「入浴」のように習慣そのものが直接的に快眠をもたらす場合です。もうひとつは間接的な役割で、良い習慣で体内時計を24時間にきっちりと調節すれば、規則正しい睡眠習慣が身に付いて快眠が得られます。そのための習慣として「光浴」があります。そしてこれらの習慣はそれを行うタイミングが重要なことも分かっています。

快眠はまずは規則正しい生活から

快眠は規則正しい睡眠習慣から生まれることを忘れてはいけません。
どんなに健康的に運動をしても、バランスの良い食事を心がけても、布団に入る時刻が毎日ばらばらであれば、快眠は得られません。

なぜ規則正しいことが必要なのでしょうか。体の中には体内時計があり、睡眠のタイミングを決めるだけではなく、前もってホルモンの分泌や生理的な活動を調節し、睡眠に備えてくれます。

運動と快眠

運動習慣がある人には不眠が少ないと言われています。

運動は習慣的に続けることが重要で、寝付きがよくなるのと深い睡眠が得られるようになることがわかっています。特に高齢者に効果が大きいようです。

激しい運動は逆に睡眠を妨げますので、負担が少なく長続きするような有酸素運動(早足の散歩や軽いランニングなど)が良いでしょう。

運動のタイミングは、夕方から夜(就寝の3時間くらい前)の運動が睡眠に効果的と言われています。
ただし就寝直前の運動は体を興奮させてしまうので禁物です。

入浴の時間がポイント

入浴で、就寝前に体温を一時的に上げてあげることがポイントです。就寝の2~3時間前の入浴が理想です。

光で体内時計と整える

光の効果は体内時計を24時間に調節することにあります。

起床直後の光が最も効果的なので、起きたらまずカーテンを開けて自然の光を部屋の中に取り込むことが必要でしょう。

禁物なのは夜の光です。朝の光と反対で夜の光は体内時計を遅らせる力があり、夜が更けるほどその力は強くなります。家庭の照明でも(照度100~200ルクス)、長時間浴びると体内時計が遅れます。
また日本でよく用いられている白っぽい昼白色の蛍光灯は体内時計を遅らせる作用があるため、赤っぽい暖色系の蛍光灯が理想と言えます。

睡眠相後退症候群と呼ばれる病気があります。いつも明け方まで眠ることができず、お昼にならないと起きられない病気です。この病気になると朝の光を効率よく浴びることができず、夜の光を沢山浴びてしまいます。治療の一つに高照度光療法といって明るい蛍光灯の光を朝に数時間浴びて、生体リズムを前に戻す方法があります。

昼間の光はどうでしょうか。昼と夜のメリハリを付けるのに効果があるようです。昼間に明るい光を浴びることによって、夜に分泌されるメラトニンというホルモンが増えることが知られています。

昼寝について

昼寝は午後の眠気を解消し活力を与えてくれます。15分程度の長さで十分です。高齢者では30分程度の昼寝を上手に利用することで、夕方のうたた寝が減少し、夜によく眠れるようになることもあります。