糖尿病とは

全国の調査結果において糖尿病患者は約1,900万人にのぼると推計されます。

健康診断で血糖値やHbA1cが高いと指摘されても、
「まだ大丈夫」と受診を迷われる方は少なくありません。
糖尿病は、早めに状態を把握することで将来の合併症を防ぐことができます。

糖尿病の治療には、運動療法・食事療法・薬物療法の3本柱があります。
運動療法により血糖コントロール・インスリン抵抗性・脂質代謝の改善が得られ、糖尿病を改善します。

糖尿病の運動療法

運動療法の適応者

運動を実施する上での注意点としては、血糖がコントロールされていない1型糖尿病患者、空腹時血糖250mg/dL以上または尿ケトン体陽性者では、運動中に高血糖になることがありますので注意しましょう。


また逆に、インスリンや経口血糖降下薬で治療を行っている方の場合は低血糖になりやすいため、運動量の多い場合には、補食をとる、あるいは、運動前後のインスリン量を減らすなどの注意が必要です。

運動種目

糖尿病を改善させる運動として、有酸素運動レジスタンス運動の併用が推奨されます。
併用はそれぞれの運動単独よりも効果的に糖尿病を改善させることも報告されています。

最初は階段を使う、歩行時間を増やすなどから始め、運動を継続できるよう心がけましょう。

  • 有酸素運動;ウォーキングやジョギング、エアロビクス、サイクリング、水泳など、長時間継続して行う運動のこと
  • レジスタンス運動;スクワットや腕立て伏せ・ダンベル体操など、筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返し行う運動のこと。

有酸素運動により、内臓の脂肪細胞が小さくなることで肥満を改善し、インスリンの働きを妨害する物質の分泌が少なくなります。このため筋肉や肝臓の糖の処理能力が改善し、血糖値が安定します。

レジスタンス運動は、筋量の増加が糖の処理能力を改善させるため、血糖コントロールに有効です。

運動強度


中等度の運動強度有酸素運動を行うことが勧められています(運動時心拍数が50歳未満で100-120拍/分、50歳以降で100拍/分以内)。

中等度以上の運動
うっすら汗ばむくらいの早歩き、何とか会話のできるくらいの早歩き、立ち仕事、歩き回る仕事、洗車、窓拭きなど

運動頻度・時間

  • 1日の合計30分以上有酸素運動を毎日続けることが望ましいです(少なくとも週3日)。
  • 糖質と脂肪酸を効率よく代謝するために30分以上の持続が望ましいとされています。
  • 運動を実施するタイミングは、特に食後1時間後に行うと食後の高血糖状態が改善されます。
  • 糖代謝の改善は運動後12~72時間持続することから、血糖値を低下改善させるため、運動をしない日を2日間以上続かないように行う必要があります。
  • また、歩行運動の場合、1日8,000~10,000歩を目安としましょう。
  • レジスタンス運動では、連続しない日程で週に2~3回の実施が勧めらています。
    ただし、心疾患がある患者では高強度のレジスタンス運動の実施は勧められません。

糖尿病の食事療法

原則、食べてはいけないものはありません

  • 高血圧症のある方は減塩が必要です。
  • 糖尿病性腎症の方は、控えるべき食品があります。
  • 過度な「糖質制限」は良くありません。
  • 甘いものを食べたい時、間食ではなく食後のデザートにすると良いでしょう。

寝る前を避け、1日3食を規則正しく食べる

  • 朝食を抜いたり、夜遅くに夕食を食べたりすると、肥満や血糖コントロール不良の原因となります。
  • 毎日決まった時間に3食きちんと食べることが、良好な血糖コントロールにつながります。
  • また、食事の時間がバラバラで空腹の状態が長く続くと、過食につながりやすくなります。
  • できるだけ一定の間隔で食べることを意識しましょう。

食べる順の工夫

  • 野菜→タンパク質→炭水化物の順に食べましょう。
  • 食物繊維を多く含む野菜を炭水化物よりも先に食べること。
    食物繊維は消化・吸収を穏やかにしてくれるので、血糖値の急上昇を抑えることができます。
  • 血糖値が急激に上がると、それに対応してインスリンが大量に分泌され、空腹感による過食から糖尿病を招くリスクが高まってしまいます。

バランスのよい食事

「糖尿病診療ガイドライン」では食品のバランスが定められています。

炭水化物とたんぱく質は4kcal/g、脂質は9kcal/gのため、脂ものは控えるよう心がけましょう。

食品の種類は多く摂取し、「食物繊維」は1日20g以上摂取しましょう。

適切な糖質制限を

減量などのために、糖質を極端に制限することは、その効果や安全性が証明されておらず、また長続きしにくいという点からも、現時点では勧められていません。

糖質を制限する一方で、摂取カロリー自体は大きく減らさないようにすると、結果的に脂質やタンパク質を多く食べてエネルギーを補うこととなります。

一回の献立として「ラーメンとライス」、「パスタとパン」、「うどんとおにぎり」など、炭水化物を組み合わせたメニューは、糖質過多になる恐れがあります。
ご飯のおかわりやラーメンの大盛りをする習慣も、注意が必要です。

ゆっくりよく噛んで腹八分目

時間をかけてよくかむことで満腹中枢が働き、適度な食事量で満腹感が得られます。
それにより暴飲暴食を避けることができ、肥満予防にもつながります。

エネルギー量

下記の式にあてはめ、1日に必要な適正エネルギー量を計算してみましょう。

1日の適正エネルギー量(kcal)


= 標準体重(kg) × 身体活動量(kcal/kg)

推定エネルギー必要量
自動計算(日本医師会ホームページ)

標準体重(kg)=身長(m) × 身長(m) × 22

身体活動量
Ⅰ・低い(主婦):25~30 kcal/kg
Ⅱ・普通(立ち仕事):30~35 kcal/kg
Ⅲ・高い(力仕事):35~ kcal/kg

外食をするときは

外食は、一般的に「総エネルギー量が高い」、「塩分・糖分が多い」、「野菜・ミネラルが不足しがち」となる傾向があります。

エネルギー量や栄養成分について確認することが難しいため、普段の量より多ければ残すことや、丼物といった単品メニューではなく、品数が多い定食メニューを選ぶなどの工夫をしましょう。

外食のエネルギー量や栄養素のバランスを見分けられるように、日頃から食品の量をはかる習慣をつけておくのもよいでしょう。